「長いお別れ」 [小説]
ハードボイルド。
この、ちょっと「初心者お断り」みたいな、「一見さんはお断りどすえ」みたいな、他者を寄せ付けない感じがひしひしと伝わるジャンル・・・
正直一歩引くタイプなもので、ずっと敬遠しておりました。
とまぁ「ハードボイルド」ったって、そこは本屋さん的カテゴライズの為のジャンルですもの。
どーせ「ミステリー」とか「恋愛小説」とかそんな世間一般の判りやす~い見た目重視の書店員さんPOPで紹介されちゃうお手軽本でしょ?
どっこい。
ぜんぜんちがう。
実は昔の記事にも書きましたが、ハードボイルド的な小説は非常に好きな部類であります。
でも「ハードボイルド!」で連想されそうな「探偵」とか「刑事」とか「事件」とかなにかトラブルが起きるストーリーっていうのがニガテだったのです。
(これは完全に偏見です。)
でも、「長いお別れ」はちがった。好きです。
しっくり来ないところはあります。なんでかあっさり友達になっちゃうわ、そのくせ強い友情が芽生えちゃうわ、でもその生き方?
マーロウの生き様を根っこで支える男気?もう、これに尽きます。久々によい小説に出会えた。こういうものばかり読みたい。
読もうと思ったキッカケは「羊をめぐる冒険」でした。「長いお別れ」を下敷きにしているんですって。
村上春樹は大好きな作家で、特に好きなのが3部作なのです。なかでも「羊~」は何回も読み返した愛読書でもあります。
今回「長いお別れ」を読んで改めて感じたのですが、この「男と男の友情」と「生き様」って言うのがやっぱり「羊~」に流れるテーマの一面であって、そこに強く引かれていんです。(これも後で知ったけれど「ロング・グットバイ」として村上氏は翻訳しています)
ちょっと年寄りくさいことを言えば、今の世の中ってなんか生きづらい気がしませんか?
勘違いの個人主義というか、自分勝手というか。時代の流れにあわせているというか流されている感じ。
どうやら「マナー」って単語の意味がすっぽり抜けた頭で権利ばかり主張して日々生きている老若男女。
マーロウのように根っこで自分を持つことって素晴らしいことではないですか?
頑固?自己中?違います。人間らしく自分らしく生きているんです。他者と自分の違いがわかっているんです。
もっともそういった人は生きていくのが難しいのかもしれません。でも・・・・選ぶならマーロウの生き方を選びます。自分は。
Hasta luego!
「リトル・フォレスト」 [漫画]
この間散歩中にふらっと入った本屋で何気に買ってしまった「リトル・フォレスト」。
すっごい田舎暮らし(?)の内容な漫画。
主人公は東北のとある村で過ごす女の子で、一度都会に出たもののまた戻ってきたという設定。
基本自分の畑や川など村で取れる野菜や魚を使って食事をしているって話で、地元料理が中心です。
おいしそうなものばかり。「大根のタルト」とか「納豆もち」とか、たくさん。あと生活の知恵なんかも。
良くも悪くも自然に振り回される生活?でも人間社会の中で生きていかなければいけないゆがみ?みたいな感じがぐぐっときます。絵もひじょーに良いし。
ていうか、ちょっとガツンとやられた感じで、昨日とか仕事の帰りに「野菜の作り方」なんて本を買ってしまった・・・
作者は五十嵐大介ってかたで、この人前に「エソラ」とかにも描いているんですね。見覚えがあったと思った。
たぶん、五十嵐さんの体験をもとにしているんだと思います。おそらく岩手県の大森という村かと。(神楽があると書いてあった)
正直、都会ってやだなぁってここ数年思っていて(人が多すぎてもうダメ)、「じゃあ田舎行けば?」といわれるといろいろ及び腰に。(田舎を変な目で見てるわけじゃないです)
この漫画を読んでみて強く憧れるけれど、その生活が出来るかと真剣に考えるとやっぱり難しそうで・・・
いろいろ優柔不断なんです。でもちょっとずつ生活をシフトしていこうかと思うこのごろ。
手始めに「野菜」の勉強からね。
Hasta luego!
リトル・フォレスト (1) (ワイドKCアフタヌーン (551))
- 作者: 五十嵐 大介
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/08/23
- メディア: コミック
帰ってきました
ひっさしぶりに帰ってきました。
充電終了?
とはいえ、まったり更新していきますゆえ、よろしくどうぞ。
ありがとうございました [映画]
昨日は『スクラップヘブン』を買ったので、さっき観ました。加瀬亮に始めて出会った作品。本気で役者の魅力を感じた人でした。内容はともかく、やっぱりいいですね。これからが楽しみな役者さんです。これからもずっと応援していきます。
さて、いろいろ映画や小説を観たり読んだりしてきましたが、自分の中で観たり読んだりする理由のひとつが、スポッと無くなってしまいました。いままでがむしゃらに読んで来ましたが、そうさせてくれた人に心から感謝します。そういうわけでこのブログも今回で最後。また気持ちが落ち着いて、違った形で再開できることを願って。
読んでくれたみなさん、ありがとうございました。
「哀しい予感」 [演劇]
昨日、舞台「哀しい予感」を観てきました。下北沢の本多劇場です。
よしもとばななの同名小説の舞台化。演出の塚本晋也が小説を読みずっと「舞台にしてみたい」と温めてきたらしいですね。
会場は満員。初の「生加瀬」を見れるとあって、かなり興奮気味に早めに入り口に着いてみたりして、そわそわしておりました。自分のまわりに「加瀬好き」が少ないんですよ。一緒に行った友人も同じことをボヤいてたし。「これは少ない加瀬仲間を集めて語らうしかないね」、とか話してみたり。でもみてなさいよ。今年は一気に有名になっちゃうんだから。
女性が圧倒的に多くて、「やば、これってばハチクロの二の舞かっ!」とちょっと不安になったけれど座席が一番端っこだったのでどうってことなし。Nの24という席で、始まってから思ったんですけど、もうちょっと前がよかった・・・
さて開演。市川実日子、会場入り口からフラフラと登場。叔母の家に行ったシーンから始まります。で、17分過ぎ、加瀬くん登場。犬小屋を作っています。もうがん見状態。台詞無いのに視線の先は加瀬、みたいな。オペラグラスも駆使して、なんとか少しでも近くに見ようと努力。そんでまた、役者たちが通路を歩く歩く。「やっぱマックってうまいよな~」といいながら加瀬くんも歩く。あぁ、あの通路の近くに座りたかった・・・・
全体的に小説の世界をそのままもってきています。ただ、正直物足りなかった。よしもとばななの小説は大概好きなんですが、なんていうか行間から染み出てくる雰囲気?みたいなものは、小説特有のもので、舞台でそれを出すには難しいんでしょうね。映画と違って俳優と脚本の力量がダイレクトに出てくるので、そういう細かな雰囲気や空気みたいなものが影に隠れてしまうのかなぁ。友人とも話したんですが、舞台俳優っぽい人が少ない?のでそういう影響もあるのかなって。映画人は多いですけどね。
自分的に加瀬くんばっか見てたのでなんなんですけど、当たり前だけど映画とは違う。どこが?といわれても微妙だけれど「舞台をしている加瀬くん」になってました。ところどころ「うまいなぁ」と思うとこもあって、後半の台詞いっき読みのところは感動。お見逃しなく。
小説は読んだけれども、めずらしく内容が頭に残らなかった作品でした。でも舞台を見ていくうちにだんだんと思い出してきたけれど、作品がすごく静かで丁寧なので盛り上がりどころがなくたんたんと進みます。休憩挟んで3時間。加瀬ファンは必見ということで。小説は読んでおいたほうがいいですよ。
「硫黄島からの手紙」 [映画]
新年明けましておめでとうございます。最近ずっと更新してなかったので、でもいっぱいDVDも本も読んでいたので、今年はサクサク更新しますよ!
で、お正月といえば「お正月映画」。公開はちょっと前だけれど観て来ました。「硫黄島からの手紙」。
しょーじきなところ、期待してなかったんです。だってクリントイーストウッドが監督でしょ?そもそも外国産日本映画ってとこでダメ。しかも戦争がテーマじゃないですか・・・ こういう映画は得てして2つの感情しか生まれない。経験上。戦争反対というのと愛国心ですよ。でも加瀬君出てるしなぁ。
で、観てみると・・・・ やっぱ重い・・・ 戦争ですから。実はあんまり知らないんですよね。先の戦争のことは。こういう戦いがあって勝ったとか負けたとか、そういうことしか。もちろん日本史は勉強したので大まかな政治的背景とかは知ってましたけど、硫黄島でこういう戦いがあったとかは知らなかった。そういう頭だったので余計重く感じてしまいました。あと、完全に個人的なことなんですけど、祖母の兄弟が硫黄島で戦死しているんです。それを思うと「エンタテイメント」としての映画って感覚では観れませんでした。
ウェブサイトとかで監督や俳優のコメントとかありましたが、彼らも何かしら考えさせられながら演技していたのでしょうね。どんな映画もそうでなきゃダメですけど。
でもちょっと思ったのが、もう少し各キャストの内面を引き出してほしかったということでしょうか。「戦争」という状況があまりに強く出ていて個人の内面が、もちろんかなり濃く出ていましたけど、もう少しあっても良かった。「手紙」というキーワードが飲み込まれていた気がします。渡辺健と加瀬君はやはりうまい。あと裕木奈江も表情で演技する女優でした。あとひとり、二宮といつも一緒にいた人。あの人も味があったなぁ。他はミエミエでだめです(ばっさり)。
DVDになったらもう一度観てみよう。かな。
さて、明日は「哀しい予感」を観に行きます!新春加瀬づくし。「それでも僕はやってない」もあるし(ていうかやっててもらいたい!)、「ハチミツとクローバー」のDVDも出ますしね。楽しみです。
次回は「雪にねがうこと」の感想です。おやすみなさ~い。
2006年の自分ベスト3
今年ももうすぐ終わりですね。いろいろあって楽しい1年でした。めっきり更新しなくなりましたが、本も映画もちゃんと読んだり観たりしています。
さて、今年1年で読んだ本と映画のベスト3を選んじゃいます。
「本部門」
第3位・・・・・中村文則「銃」
第2位・・・・・山田宋樹「嫌われ松子の一生」
第1位・・・・・稲見一良「ダック・コール」
「映画部門」
第3位・・・・・「スクラップ・ヘブン」
第2位・・・・・「ハチミツとクローバー」
第1位・・・・・「サマータイム・マシン・ブルース」
いやいや。あくまでも「今年自分が読んだ・観た」なので多少古いのもありマス。
映画で言うと、今年は上野樹里と加瀬亮にやられた一年でした。上野樹里は何気にうまいんですよ。表情がうまい。加瀬くんはもちろんなんですけど。来年もこの二人には要注意です。
「ナイスの森」 [映画]
観ました「ナイスの森」。でもなんと言ったらいいのでしょう・・・・ コレは観た人にしか伝わらないインパクトが・・・ 「茶の味」のテイストをもっと深くしたような・・・・
コンディション万全でないと全部見れません!(2時間半くらいある) しっかも後半不気味系シモネタだっし。
でもまぁそんなインパクトあるストーリーに惑わされずにみると!加瀬っちのあまりの出演ぶりに青ざめるわけですよ!浅野忠信と寺島進とヘンな外人のガキがメインなのかって思うけれど、本筋で主役はいません。でも完全に加瀬ちゃんがウラメイン。
バイリンガル加瀬、DJ加瀬、ダンサー加瀬、パンチパーマ加瀬、英語教師加瀬、お笑い芸人加瀬ともう『加瀬祭り』状態。加瀬で始まり加瀬で終わりますからね。満足。大満足。
でもその多彩な演技っぷりは来年にはもっと有名になってお茶の間に浸透しちゃうんじゃないかって思っちゃう。いろいろかなりの数の映画出演をこなしてますが、イマイチ一般知名度がね。でも『ハチクロ』とか『硫黄島~』とか有名どころに立て続け出演してるし、遠くなっちゃうのね・・・
はい。加瀬くんはここまで。
あと浅野忠信のボソボソと話す感じがいいっす。『茶の味』でもそういう味でてたなぁ。寺島進も「花」ありますよね。『茶の味』を観てからこっち観ると世界観にどっぷりつかれますよ(疲れもする)
「花よりもなほ」 [映画]
完っ全に加瀬狙いで観たこの映画・・・・ やっばい!
えー、監督は是枝監督。「誰もしらない」の監督ですね。あんな映像撮るんだから、また独特の雰囲気なんだろうなぁ、まっ、加瀬くん出てるしいっか、的なテンションで観たのにやられちゃいましたよ。
主人公は親のあだ討ちの為松本から出てきたお侍、青木宗左衛門(岡田准一)。彼の父親は剣術指南役だったのに、本人はてんでダメ。お侍としてダメなのです(相当かっこいいけど)。でもまぁ長屋に隠れ住み、敵を探して日々長屋の住人たちと生活していくわけですが、「あだ討ち」という武士の生き方に疑問を持っちゃうんですね。長屋のみんなのお気楽な生活に溶け込んでいくうちに。もちろん淡い恋心もありなわけですよ~。さて。あだ討っちゃうんでしょうか!!
で、加瀬くん。9分20秒過ぎに初登場。実は相当先まで解らなかったんですよ・・・
基本的に前情報ほとんどなしに映画観るんで、誰が何の役とか知らなくて・・・
もう、いつもとはぜんっぜん違うしゃべり方?口調?台詞まわし?しかも時代劇だし、誰?あなたは?と思っていたら加瀬くん。やっぱすっげぇ。演技うまいですよ。役者さんですよ。この映画のいい感じの主人公は岡田くんですが、もう一方の対をなす対極の主人公は加瀬くんだ。
しっかも岡田VS加瀬の決闘シーンとか、もうキュン死にです。やっばい。やばいやばい。
さて、配役がいいんですね。宮沢りえは岡田くんが想いをよせる後家さんですが、これが細かいところでいい表情をする!あと長屋の娘の田畑智子。「大停電の夜に」でロウソク屋さんでしたよね。美人じゃないけどつい引き込まれてしまう魅力がある。あと寺島進。最近観る映画に必ずといっていいほど出ていて、でもその理由がわかる。うまいとかヘタとかより存在感。それにつきます。
でもやっぱ加瀬くんでしょう! といいたいけれど、今回は岡田くんだ・・・
「アイドルじゃん」とバカにしてたけれど、寺島進と囲碁を打つシーンでは見入ってしまった。表情がね、豊かなんですよ。
内容が非常によい。あと音楽もよい。飽きさせない。思わず観ちゃう。そんな映画でした。